酸素四面体構造を有する酸化物

 本研究では、頂点共有したAlO4などの酸素四面体がネットワーク構造を有すBaAl2O4などの酸化物に着目し、新規物性の開拓を行っています。約450 KのTCを有す間接型強誘電体BaAl2O4は、図1に示すように頂点共有したAlO4四面体がネットワーク構造を形成し、六員環間隙をBaイオンが占有した結晶構造を持ちます。本物質ではAlO4酸素四面体がゆらぎを持っており、X線回折や電子回折では散漫散乱が観察されます。

図1

BaAlO

 

 

 

 

 

 

 

 当研究室では、BaAl2O4のBaサイトをSrで置換した系Ba1-xSrxAl2Oに注目し、強誘電相転移や構造的特徴について研究を行っています。その結果、少量のSr置換でTCが大きく抑制されることやO原子について非常に大きな温度因子が800〜15 Kという広い温度範囲で観測されることから、この組成領域において強い構造揺らぎが生じていることなどを明らかにしてきました。そして最近では、この強い構造揺らぎから生じる物性を調べるため、PPMSを用いた比熱・熱伝導率の測定などを行なっています。

 下図には、Ba1-xSrxAl2O4の比熱の温度依存性とSiO2ガラスと結晶性SiO2であるα-クオーツの比熱の温度依存性を示しています。通常、絶縁性の結晶固体ではデバイのT3則に従うため、低温で一定の値を示します。一方、ガラスは結晶性固体と比較して比熱が増加すること、デバイのT3則に従わず低温でアップターンが見られることが知られています。右の図から、α-クオーツでは5 K以下でC/T3が一定の値を示していること、SiO2ガラスでは、およそ20 K以下で比熱の値が増加していること、2 K以下で比熱のアップターンが見られることが分かります。そして、左右の図を比較するとSr置換により、Ba1-xSrxAl2O4は絶縁性の結晶固体であるにもかかわらず、比熱の温度依存性がガラスと類似した特徴を持つようになっていることが分かります。今後は、さらに本物質を解析することや他の物質との比較を行うことで、機構を明らかにすることやそれを利用した新規物性の開拓を目指しています。

       Ba1-xSrxAl2O4とガラスSiO2・α-クオーツの比熱の温度依存性